2008年末から2009年始に思った事
昨年末。急遽思い立って一人旅に出かけた。
とはいえ、旅中、頻繁に犀川君とはメールで連絡を取り合っており
半ば、一緒に旅先をめぐったような錯覚に陥るほどだった。
別に、犀川君と何かあったわけではない。
年末に思わぬ時間が出来たのと、クリスマスに寝台列車を見て
急に旅に出たくなったのと、たまたま買った観光本に影響されたのと
ひとりで気持ちの清算をしたかったからだ。
このブログを書き始めた2006年8月。
私はハヤテに片思いをしていた。
生涯最愛かつ最後の恋だと思っていた。
ハヤテ以外の誰かに心奪われる日がくるなんて思いもしなかった。
ハヤテはそれまで出会った男たちとはまるで違っていた。
破天荒で予測不可能。流星のような彼に私は翻弄された。
あれから丸2年。正直、私は疲弊し切っていた。
そして、犀川君に出会った。
はじめは、彼がハヤテを超える存在になるなんて思いもしなかった。
ただ、犀川君の穏やかさに触れると
日だまりにいるみたいで、心地よさがじんわり心にしみた。
犀川君は決して、ハヤテのように私をドキドキさせない。
いつもジェットコースターに乗っているような時間を
私に与えるハヤテは、私を飽きさせないし、魅力的に映る。
ただ、ハヤテは私の気持ちを察することは絶対にない。
彼はいつだって自分本意で、彼の神輿に私は便乗するだけの話だ。
一方、犀川君は違う。
犀川君は自分の大切なものと、私の大切なものの間合いを考える。
そこにはジェットコースターのようなハラハラはない。
だけど、一緒に神輿を担ぐあったかい楽しさがある。
それは私の心を芯から温め、優しくする。
気づけば、私はその日だまりを心から愛していた。
時々は、慎重すぎる犀川君の言動に、イライラもさせられる。
きっと、犀川君にしてみれば、私という存在は
かつて私にとってのハヤテみたいなものだろう。
彼の背中を押しまくり、ぐいぐいリードする私をみて
犀川君は「ミサトさんといると楽しいなぁ」と笑うのだ。
時々、そんな私にペースを乱されて、
犀川君が疲れやしないか心配になる。
だから時々、私は確認するように「好きだ」と告げるのだ。
こんな心の変化がまさか自分に起きようとは思いもしなかった。
2008年の予想外の展開に自分が一番驚いている。
一人旅をしながら、しみじみ一年を振り返って思った。
ハヤテに恋をした。
片思いだったけど、心底楽しかった。
片思いだったから、とても苦しかった。
ハヤテは今でも仕事の上での同志だ。
きっとそれは、これからも変わらない。
ハヤテとの欧州の旅は一生忘れない。
あの時、結局、何もできなかった自分。
何もしてこなかったハヤテ。
あれでよかったのだと今は思える。
早朝のロビーでハヤテが言った「寂しいなぁ」。
あれを思い出すと今も胸が苦しくなる。
どうしても距離を縮める事ができなかった。
一時は、心が重なっているようにも思えた事もあった。
チャンスを逃したら、軌道は二度と重ならない。
それを思い知った恋だった。
でも、それでよかった。
ハヤテ、大好き。
幸せになってね。
私も幸せになる。
いつか、もっと年をとって
もう一度出会いたいね。
そうしたら、笑って
あの頃、ハヤテが好きだったと言えるかもしれない。
その時まで、この気持ちは封印する。
さよなら、ハヤテ。
私は犀川君の元へ行く。
犀川君に恋をした。
まさかまさかの年下だ。
年下の男と付き合うなんてあり得ないと思っていた。
2歳年下の弟がいるから、年下は苦手だったのだ。
ところがどうだろう。
タカ君には「年下はダメだ」と言って断ったのに
犀川君は事もあろうか、8歳も年下だ。
だから、はじめは、恋仲になるなんて想定外だった。
かわいい後輩だと思って話していた。
彼も油断していたのだろう。
奥手の犀川君が私だと気楽に何でも話してきた。
話すうちに、何だか気が合うと分かった。
価値観がとても似ていると気づいた。
はっとした時には、恋に落ちていたのかもしれない。
ふとしたきっかけで始めたメール交換。
気づけば、次第にやりとりの間隔が縮まり、
いつしか、互いの心の距離まで縮まっていた。
最初は互いに緊張して、会えば空回りしていたけれど
次第に打ち解けて、離れがたき恋人になった。
年の差は全く感じない。
時々、たまらなくかわいくなり、
時々、年上のように頼りになる。
犀川君も年の差は全く感じないと言い、
「だいたい年なんてどうでもいいし」と笑う。
気持ちが重なってしまうと、
年なんて関係ないのだと初めて知った。
そう自覚した時、
私の心の中から、ハヤテが消えていた。
そして今、私の心は犀川君であふれている。
心変わりは、驚くほどあっけなかった。
それでいい。
前へ進んだのだ。
これまで心変わりが怖かった。
だから、それをごまかすように刹那的に生きてきた。
相手に心変わりを促すような事も言ってきた。
心変わりされるのが怖くて先回りしていた。
そんな癖がしみついた私に犀川君は言う。
「ずっと一緒にいようね」
口先だけの人じゃないと知っているから驚いた。
誠実にそう言われると、先回りできなくなる。
今もまだ、心変わりは怖い。
怖いから、心底それを信用できない。
できないけど、信用してみようかなと思えるようになった。
こんなこと、人生で初めてだ。
犀川君は初めて、私に「ずっと」を約束してくれた男だ。
だから思う。
もう少し素直に、一緒に歩んでもいいんじゃないか、と。
心変わりしてもいいじゃないか。
心変わりしたからこそ、私は今幸せなのだ。
2009年は、怖がらず、犀川君と歩んでいく。
そう決意して帰ってきた。
新年早々、インフルエンザにかかった。
その間、犀川君がずっとメールで励ましてくれた。
私のそばには犀川君がいつもいてくれる。
そう思うと、病気でも心強かった。
もうすぐ…
犀川君と出会った昨夏に約束した「雪暮れ」を
二人で見に行く旅に出る。
この半年、互いにずっと心待ちにしてきた旅だ。
この旅で、二人の距離はまた縮まるだろう。
地味でも一歩一歩、今年も距離を縮めていきたい。
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