旅のしおり、恋のしおり
「雪でも見に行こうか」と犀川君が言い出した。
雪が好きだ、雪が好きだと私がよく言っていたからだろうか。
冬の青春18きっぷが届いたから、ゆっくり行こうかと犀川君。
たくさんの食べ物を買い込んで、グリーン車に乗り込んで、
仲良く並んで、話したり、手をつないだり、寝たりして電車を満喫。
「こんなデートでごめんね」と犀川君は言うけれど
実は私は電車に乗っているのが好き。
おまけに、電車内で食べるのが、幼少の頃から好きなので苦でない。
もちろん、犀川君と付き合うようになってから、
鉄道を意識するようになったけれど、こういう方が楽しいのだった。
そう言うと、犀川君は気を遣ってくれているでしょと笑う。
でも、二人がけのシートの列車は、ずっと二人で寄り添えるので
こんなに楽しい乗り物は、そうそうないのではないかとさえ思う。
そう言うと、犀川君は「ミサトさんはエッチだね」と笑うのだ。
天気予報がはずれて、結局、雪は降ってなかった。
それでも、風は剃刀のような鋭い冷たさで、すぐに喫茶店に入った。
「犀川君とこれからいろんな所に行ってさ、
行く先々で犀川君は鉄道を堪能する。
私は行く先々で駅弁を堪能し、カフェを探すというのはどうだろう?」
そう言うと、犀川君は目を輝かせながら「いいね!それ」と賛成してくれた。
そして、二人で初の泊まりがけの旅として、秋田へわっぱを買いに行こうと
いうことで盛り上がった。偶然に二人して、わっぱが欲しかったのだ。
ぽっかぽかの喫茶店の中で、私は旅のしおりとなるイラスト入り
行程表を書き、犀川君は時刻表でスケジュールを決めていった。
喫茶店にあったナプキンに書き込んだ旅のしおり。
途中、鉄道の写真を撮影に犀川君が席を外している間に
もう一枚のナプキンに同じ行程表を書いて、犀川君にプレゼントした。
「いいね、こういうの」と喜んでもらえて嬉しい。
これから、旅の予定をたてる際には、毎回、こうしてしおりを作ろう。
このしおりの数が増えるたびに、私たちの仲がますます深まりますように。
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