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2008年12月

クリスマスプレゼント

先週末から絶不調に陥り、昨日まで床に伏していたのだが、
今日は仕事上、どうしても外せない案件があったうえ、
犀川君が「僕も早く終わるから会いましょうか」と言い出したので
なんとしても這い上がらねば!と、根性で出社した(笑)。

根性で這い上がった甲斐あって、コンペを勝ち抜き案件ゲット!
これでひどい頭痛もかなり軽減されたものの、熱のせいか
悪寒→発汗→悪寒→発汗を繰り返して、ぐったり。
そのまま会社に戻るのはやめて、喫茶店で休憩して
犀川君と落ち合うまで、時間を潰すことにした。

夕方になって、犀川君から「東京駅で会いましょうか」と連絡。
待ち合わせの時間に東京駅に向かうと、中央線のホームで犀川君が
待っていてくれた。やあ、と声を掛けると、すぐさま「こっちこっち」と
足早に犀川君がホームのエレベーターを降りてゆく。
慌てて追いかけてゆくと、寝台特急富士のホームへ。
方向幕には「大分」の文字。なんて懐かしいのだろう…何十年ぶりだろう。
来年3月についに廃止が決まったブルートレイン富士。
私が幼い頃、毎年のように実家の大分に戻る際に家族で乗った、
思い出深い列車なのだ。あの青を見る度に、胸がきゅんとなる。
犀川君にとっても、特別な列車だそうで、
思えば、富士の話で盛り上がったのが、付き合うきっかけだった。
思いがけず、富士を間近に見て、切なさでいっぱいになる。
6時すぎ、東京駅を後にする富士を見送りながら、
しばし2人、ホームで黄昏れた。

その後、丸の内のライトアップされた町並みを二人で歩いた。
犀川君は「洒落臭い街だな〜」と笑いながらも
「なんかね、ここが注目らしいよ」と何げに詳しかった(笑)
「よかったじゃん、私と一緒なら洒落臭い所行けるっしょ?」と言うと
「うん、まあ」と照れ笑いをしている。
途中、カフェに入って、二人でケーキを食べた。
そのまま、体調もいまひとつなので午後8時半には東京駅でお別れした。
健全な二人だな〜(笑)でも、悪くない。

しばらくしたら、犀川君からメールが入った。
「しまった!プレゼント渡そうと思ってたのに、忘れた!」(笑)
思わず、メールを読んで、ぷっと吹き出してしまった。
「明日の夜、会社抜け出していつも喫茶店に行くからその時に渡すよ」
思いがけず、明日も会えることになってラッキーだと告げた。
それにしても…犀川君がプレゼントを用意してくれていたなんて!
私なんて、思いつきもしなかった(笑)
これまで、犀川君はあまり、こうしたことに無頓着だったこともあって
私の方もすっかり油断していたのだ。いやはや、驚いた。
「期待しないで」と犀川君は言うけれど、
何をくれるか、なんてことよりも、
その気持ちだけで、十分嬉しい。
それが最高のクリスマスプレゼントだ。

帰りの電車、嘘のように頭痛が消えていた。

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広がる夢

「ちょっと時間が作れそうだから、ちょっとだけ会おうか」
夕方に犀川君からメールがあった。
夜8時にいつものカフェで待ち合わせ。
顔を出すと、既に来ていた犀川君がニッコリ笑って出迎えてくれた。

青森・秋田への旅について、あれこれまた相談した。
ブルートレイン好きの二人なので、あけぼので青森まで行く。
やれ、B寝台にするか、個室にするか。
やれ、上野で乗り込む前に風呂に入れるかどうか。
やれ、上野で乗り込む前に夜ご飯どうしようか。
やれ、翌朝の朝ご飯はどうしようか?車内販売の駅弁か?
やれ、その翌日はどこに泊まろうか。温泉宿がいいな。

まだ犀川君と出会って間もない頃、彼に勧められた鉄道の写真集があった。
その中に、「雪暮れ」というタイトルの写真があった。
雪深い里にある小さな駅の夕暮れに、しんしんと雪が降る場面。
雪が積もる音以外は静寂だけがあるような、そんな写真。
すっかりこの世界観に魅せられて、見てみたいと言い出したのが
今回の旅プロジェクトの始まりだ。

ところが、この駅、とっても電車の乗り継ぎが悪い。
ここを目指すと、他の予定がすべて超タイトになってしまうという。
なので、「いいよ、ここ、行かなくて」と言うと
「でも、ここに行きたかったんだよね、ミサトさん」と犀川君。
「うん。でもさ、時間的に余裕があるわけじゃないしね。いい、いい」
「それじゃね、この駅じゃなくてもいいなら、この写真よりももっと
素敵な駅が他にもあるんだよ。そこに連れて行ってあげる」と犀川君。
「おお!それで十分。そうしよう、そうしよう」と私。

電車の乗り継ぎ等、鉄道周りの一切は彼に任せておけばよい。
私はかわりに、宿を探すことにした。
犀川君と初のお泊まりとなる宿である…。
雪深い街をさんざん歩いてたどり着く先だから
私としては温泉宿でゆっくり湯を楽しみたい。
食いしん坊なので、できればご飯がおいしい方がよい。
欲張るときりがない。でも、一番は、
なんとなく、雪深くて静寂で、まるで二人しかいないみたいな
そんなロマンチックな宿がいい…なんて夢は広がるばかりだ。

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旅のしおり、恋のしおり

「雪でも見に行こうか」と犀川君が言い出した。
雪が好きだ、雪が好きだと私がよく言っていたからだろうか。
冬の青春18きっぷが届いたから、ゆっくり行こうかと犀川君。
たくさんの食べ物を買い込んで、グリーン車に乗り込んで、
仲良く並んで、話したり、手をつないだり、寝たりして電車を満喫。
「こんなデートでごめんね」と犀川君は言うけれど
実は私は電車に乗っているのが好き。
おまけに、電車内で食べるのが、幼少の頃から好きなので苦でない。
もちろん、犀川君と付き合うようになってから、
鉄道を意識するようになったけれど、こういう方が楽しいのだった。
そう言うと、犀川君は気を遣ってくれているでしょと笑う。
でも、二人がけのシートの列車は、ずっと二人で寄り添えるので
こんなに楽しい乗り物は、そうそうないのではないかとさえ思う。
そう言うと、犀川君は「ミサトさんはエッチだね」と笑うのだ。

天気予報がはずれて、結局、雪は降ってなかった。
それでも、風は剃刀のような鋭い冷たさで、すぐに喫茶店に入った。
「犀川君とこれからいろんな所に行ってさ、
行く先々で犀川君は鉄道を堪能する。
私は行く先々で駅弁を堪能し、カフェを探すというのはどうだろう?」
そう言うと、犀川君は目を輝かせながら「いいね!それ」と賛成してくれた。
そして、二人で初の泊まりがけの旅として、秋田へわっぱを買いに行こうと
いうことで盛り上がった。偶然に二人して、わっぱが欲しかったのだ。

ぽっかぽかの喫茶店の中で、私は旅のしおりとなるイラスト入り
行程表を書き、犀川君は時刻表でスケジュールを決めていった。
喫茶店にあったナプキンに書き込んだ旅のしおり。
途中、鉄道の写真を撮影に犀川君が席を外している間に
もう一枚のナプキンに同じ行程表を書いて、犀川君にプレゼントした。
「いいね、こういうの」と喜んでもらえて嬉しい。
これから、旅の予定をたてる際には、毎回、こうしてしおりを作ろう。
このしおりの数が増えるたびに、私たちの仲がますます深まりますように。

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解けた恋の魔法。新しい恋の魔法。

今日は久しぶりに、ミーティングでハヤテに会った。
会合場所にやってきたハヤテは、何だか、疲れきった顔で
髪もねっとり頭にはりついていた…。そして開口一番、
「体調わりぃ。目覚めたら、カラオケボックスの床に寝てた…」だそうだ。
相変わらず、仕事なのか、遊びなのか、その境界すら曖昧な中で
風呂にも入らず、家にも帰らず、年甲斐もなく徹夜する生活を繰り返している。
以前の私なら、これら全てが愛おしく感じたというのに
なぜだろう、今日は全く心動かされることもなく、シラッしていた。
むしろ、なんで、こんなに小汚い風貌の男に惚れていたのだろう?と
不思議に思えるほどだった。いよいよ、恋の魔法は解けたらしい。

恋している目は本当に不思議だ。
何もかも美しく、何もかも素敵に変えてしまう。
恋のフィルターは本質を歪ませてしまうことを、経験で知っているのに
何度恋しても、この魔法に落ちてしまう。
この恋こそは本物。
この恋こそは最後。
そんな切実な思いに突き動かされて、激情に身を焦がしていたのに
恋の嵐が過ぎ去ってしまうと、何もかもが幻のように朧だ。

あれだけハヤテが好きだったのに。
何もかも投げ打っても、ハヤテだけは欲しいと思っていたのに。
ハヤテさえいえば、他に何も要らないと本気で思っていたのに。
嘘のように、全ての感情が消えてしまった。
今はむしろ、本当に好きだったのかな?なんて疑問ばかりが浮かんでくる。

どうやら、私の心はすっかり犀川君に染まったようだ。
相変わらず、彼の煮え切らない態度にはイライラは募るけれど
それでも、犀川君に夢中であることに変わりはない。
ミーティングが終わり、ハヤテと別れた後、
無性に犀川君に会いたくなった。
無論、年末の仕事に忙殺されている犀川君に会えるはずもない。
なので、唐突だけどメールで「大好きだ」と送った。
すぐに犀川君から「僕も大好きだよ」と返ってきた。
じんわり胸の奥があったかくなる。
これが幸せというものか。
こんなにあったかくしてくれるのは、
今は犀川君以外にあり得ない。
いつか、魔法が解ける日が再び来るかもしれないけれど
ずっと一緒にいる努力をしましょうと言ってくれた
犀川君を信じて、私も努力しようと誓ってみた。

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愛してるオーラ

なんとなく、「私のことまだ好き?」ってメールで聞いてみた。
「まだってどういう意味?愛してるよ」とすぐに犀川君から返事がきた。
「ふふん、そうか、よかった」と返事したら、
「ミサトさんは??」と聞き返されて、「好きだよ」と返した。

その夜、犀川君が「まだ好き?って聞いてきたということは、
もしかして、僕の愛してるオーラが足りないのかな?と
心配になりました」と大まじめなメールがやってきた。
愛してるオーラて何だ?(笑)
あの生真面目な犀川君の口から、こんな言葉が飛び出すなんて!
ほんの少し、不安の影が忍び寄ってきていたのに、
この言葉ですっかり飛んで、大笑いしてしまった。

それでも、犀川君は相変わらず仕事の鬼で、なかなか時間がとれずにいる。
一度、帰りがけに喫茶店で落ち合ったけれど、すぐに犀川君は会社に
戻らなきゃと言って、寂しそうな目をしながらも去っていった。
初お泊まりの話もしていたのに、約束の日にちが近づいてきても
話を一向に進めないなと思っていたら、いきなり、仕事だと言い出して
結局、この話はぽしゃってしまった…(´Д`|||)
私はいろんな心労がたまったのか、辛口韓国料理の食べ過ぎか…(笑)
胃を再びぶち壊して寝込むと、今度は私の体調を口実に、無理しないで
近場へ出掛けようとか何とか…。

もう、うじうじうじうじ、意気地なし!!!
「ちょっと、会いたくないなら、年内は会わなくて結構よ」と言うと
今度はあわてて、会いたいに決まっているじゃんかと返事を寄越す。
こんな調子だから、クリスマスどころではない。
久しぶりにちゃんとした恋人ができて、人並みにクリスマスに
ロマンチックな思い出を…なんて思っても、夢のまた夢だ…。
そもそも、犀川君自身、こういう事に無関心で、好きじゃないと言っていた。
当然、嫌いなだけあって、まったく気づかないし、配慮がない。

イライラしながらも、悟られないように、それでいて、断言するように
「もう年内はいいよ。でも、年明けに初詣くらい行きたい。それくらい
時間を作ってくれてもいいと思う。仕事で作れないなら別れる」
そういうと、「初詣行こう。どこがいいか、相談しようね」と
あまり危機感のない回答が戻ってきた…orz
なんとも、感情がうまく噛み合ない…

多分、愛し合えてはいるけれど、どうも、波長が合わない。
好きだ好きだと言うわりに、まるで行動が伴わない犀川君に
私のイライラや不満は募るばかりだ。
今の私は、優しい言葉なんて欲しくないのだ。
オーラなんて要らない。確実に抱き締めてほしいだけなのだ。
この不安は、ロマンチストの彼には分かるまい。

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スロー

いつもなら、犀川君よりも早く家を出る私が、バス停でバスを待っている時間、
犀川君がちょうど起きようかどうしようかという時間に私はメールを送る。
おはようと挨拶し、今朝の気温だとか天気だとかを告げるためだ。
だが、今朝は送らなかった。
なぜなら、犀川君が昨夜、遅くまで仕事をしていたのを知っていたので
ゆっくり寝せておこうと思ったのと、きっと今朝も気分はよくあるまいと思い
そっとしておこうと思ったからだ。メールが来てないと残念に思うだろうが
着信音で目覚めさせてしまうのが、何だか今朝は気がひけた。
すると、いつもメールを出すよりも1時間後くらいに、犀川君から
おはようメールが届いたが、行間から元気のなさがにじんでいた。
何だか、私の方まで気分が滅入りそうになるが、なるべく忘れる事にした。

仕事中、何度かメールが来ていたが、「無理をするな」と送った。
「今日は早めに仕事をあがります」と連絡があったので、
「そういう日はさっさと家に帰ってゆっくり休め」と励ました。
「優しいですね」と犀川君は言うけれど、
決して優しさから出た言葉ではなかった。
正直、だんだん面倒になってきただけで、
決して犀川君の心に寄り添って出た言葉ではなかったから後ろめたい。
違う、違う。私は本当の意味で、君の心の痛みが分からない。
なぜ、そんなに落ち込んでいるのか、迷っているのかが分からない。
「すいません、よくあるんです」と犀川君は言うけれど
なぜ、よくそういう事態に陥るのか、きっかけが何なのかが分からない。
多くを語ろうとしない犀川君に、理由を尋ねるのも気が進まない。

そりゃ人間だもの、落ち込むこともあるのは分かるけれど
何だかこうして付き合うようになってからというもの、
犀川君の落ち込んでいる時間は、かなり長い。
半分くらいはナーバスな時間で、会うことすら叶わない。
楽しい時間はほとんど幻にように思えてくる…。

こんなもんでしたっけ?
仕事がどんなに多忙でも、ほぼ連日のように深夜に落ち合事だって
これまでの恋愛ならば当たり前のようにあった。
落ち込んで会えない…なんて言い出す男は皆無だった。
皆、もっとバイタリティがあり、もっと欲望に忠実で、もっと楽天的だった。

犀川君はこの先も、5割の確率で鬱な時間を過ごすのだろうか。
私は残り5割の躁の時間のうち、彼が恋愛に割いてもいいだろうと
計算した1割弱程度の時間をいただいて、思い出を重ねるのだろうか。
単純計算して、1年のうち6カ月は鬱状態で会えない。
残り6カ月の1割弱としたら、わずか18日。
20日に1回会えればいいという計算になる。
同じ会社にいるというのに、この数字だ。なんて驚異的なんだろう。
この事が、つまり彼の言う「ゆっくりいく」という事なんだろうか?
そりゃ、たしかにスローなペースだ。
スローな恋。スローな進展。スローな愛情。

さ〜て、私の我慢はどこまで耐えうるのだろうか。見物だ。

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気難しい

時々、何とも言えない気持ちになる。
犀川君は私が想像していたよりも、はるかに繊細だ。
決して弱いわけではないのだが、ガラス細工のようで触れるのが怖くなる。
その薄くて壊れそうなココロの外側には、見えない強固なバリアもある。
そのバリアは時として、私の声すら通さない。
バリアの向こうで、力なく犀川君は笑うけれど、
私はバリア越しにそのはかない笑顔をただただ見つめるだけだ。
そんなことが、しばしば、ある。

要は、「気難しい」ということになるのだろうと思う。
ぱっと見、好青年だし、決して暗いわけでもなく、話にもユーモアがあり、
品のよさと賢さがにじむ犀川君は、おそらくモテないわけでもないだろうが
彼はおそらく、ほとんど女性と付き合ってこなかったはずだ。
本人もそう言っているし、態度からも想像がつく。
最近、なるほど、と思うのは、その「気難しさ」だ。
彼のこの「気難しさ」に付き合うには、根気がいる。
こちらまで神経質に、これに付き合っていたら、気持ちがまいってしまう。
ある程度、聞き流し、ある程度、無視するくらいの余裕がなければ
おそらく相当イライラもするし、翻弄されてしまうだろう。
なんで、こんなに年が離れてる私を好きなんだろう?と不思議だったが
なるほど、こういう彼の性格に付き合うには、年上の方が向いているのだ。
それでも、時々、何だか彼の不安が伝染して、こちらまで不安になるから困る。

はあ、本来の私は、もっと全面に相手に甘えたいのだ。
甘えられるなんて、まっぴらなのに、
相手に先に甘えられてしまうと、嫌だとは言えない性格なのだ。
誰かに思い切り甘えたいなあ。
そして、笑って頭をなでて安心させてほしい。
近頃、私がしっかりしなくっちゃ!明るくいなくっちゃ!と
ついつい気が張ってしまって、気づけば精神が結構疲れてしまっている。
無理する必要なんてないのに、勝手に気負ってしまうのだ。

やっぱり合わないのかな…なんて思う今日このごろ。
それでも今更、安心しきった犀川君を放置して他には行けない…。

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