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2008年11月

最大の収穫

すっかり更新を怠っているうちに、
私と犀川君の間にどんなことがあったのか、細かい事は忘れてしまった。
ただ確かなことは、小さな紆余曲折を重ねながらも、
それなりに順調に気持ちを重ね合い、仲良くやっているということだろう。

この間は二人で秩父まで遊びに行ってきた。
なんで秩父?と最初は思ったけれど、鉄道好きな彼の好きな
西武鉄道のレッドアローに乗ることもかねていた。
偶然にも紅葉がきれいだったし、偶然にも秩父に着いたら
SL列車がやってきて、じゃあせっかくだからと乗り込んだり、
ダム好きな犀川君のリクエストで浦山ダムを訪れたら
思ったよりも素敵で、なかなか愉快な旅ができて大満足。

彼の趣味は私のこれまでの人生ではあまり体験することが
なかった事ばかりで、想像以上に刺激的で面白い。
今ではすっかり、二人でどこかに旅するのが趣味になってしまった。

相変わらず彼は多忙で、相変わらず時々、ココロに余裕がなくなり、
相変わらず小さく凹み、相変わらず私には理解不能な面もあるけれど
それでも毎日、好きだと言ってくれ、
それでも毎日、こまめにメールを寄越してくれ、
それでも毎日、ずっと一緒にいようと言ってくれ、
そんな人はこれまでの私の人生にはいなかったな、と思うと
犀川君という存在がどれほど私にとって貴重なものか痛感する。

思えば2008年は犀川君に出会い、犀川君に恋をした。
ただそれだけの人生で、他はあまりぱっとしなかったけれど
でも、これ以上の幸せは他になかなかあるまいと思うと
十分な一年だったように思う。
そう、だから、2008年を振り返った時、最大の収穫は犀川君という事になる。

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ずっと

先週、ハヤテのリクエストで、ミーティングの後、牡蠣を食べに行った。
互いに牡蠣が大好物とあって、大いに注文し、大いに食べ、大いに飲んだ。
ハヤテは珍しく弱気になっていて、終始彼の相談事を聞いていた。
「大丈夫!」と励ますたびに、弱々しく微笑むハヤテを見て
内心、もう私をあまり頼っちゃいかんよ、とつぶやいた。
距離をとろうとすると、ハヤテはすぐに、その距離をつめてくる。
でも、もう遅い。私のココロはもう、ハヤテから離れてしまったのだ。
相変わらず、ウマはぴったり合うけれど、致し方あるまい。

その翌日、犀川君が夕方、ちょっと会いませんかと連絡してきたので
いつもの喫茶店で落ち合った。
会社を出る直前、上司に凹む話を聞かされて、ブルーな気分で顔を出すと
犀川君は既に来ていて、「今日はもう帰れるんだ」と笑う。
その笑顔を見たら、なんだかほっとして、愚痴りたくなった。
「なーんかさ、会社、辞めたい気分」
そう言うと「じゃ、辞めちゃおうっか、一緒に」と犀川君が笑う。
「僕が今の職業じゃなくてもいいでしょ?」と続けて聞くので
「職業を好きになったんじゃないもの。犀川君が好きなんだもん」
そう応えると、犀川君は照れながらも、嬉しそうに笑って
「じゃ、菅平で喫茶店でもやるか〜。カモミールティ出してさ」
と、以前、二人で冗談で笑っていた話を持ち出した。
「いいねー」と二人で笑ったら、少し気が楽になった。
会社のことなんて、どうでもいいじゃんと犀川君は言う。
どんな仕事をするか、会社じゃなくて、中身。
そっちのほうが大事だと言う。そりゃそうだ。
少し気が楽になった。

日曜日、犀川君が会おうと言う。以前の忠告が未だ活きている。
無理しなくていいと言ったのに、会いたいからと言ってきかない。
友達と徹夜ごしの約束があったのに、そのまま、会いにきてくれた。
嬉しいけど、身体がちょっと心配だ。
それでも、顔を見たら、思ったよりも元気そうで安堵。
二人で海の見える駅で、お弁当を食べて、ぼんやりした。

歩く時はいつでも手をつなぎ、人目をしのんでキスをして
口を開けば、好きだ好きだと連呼する…
こんなにデレデレでいいものか…と不安になるけど止められない。
そして、犀川君は「ずっと一緒にいようね」と微笑むのだ。
ああ、こんな風に言われたら、未来に期待をつないでしまう。
ずっと一緒にいるなんてことが、本当に可能なんだろか?
「僕は本気です」とまじめな犀川君は繰り返す。
もちろん、私だっていい加減な気持ちで付き合っているわけではない。
が、「ずっと」は「永遠」に近い意味を持つ。
「ずっと」は「継続」を意味するのだ。

犀川君と話している時に、ふと思い出と匂い、思い出と音楽の
関係性についての話になって、何気なく「いつか、犀川君が
私とのことを思い出す時、どんな匂いと共に懐かしい気分に
なるんだろうな〜」と言ったら、鋭く「それじゃ、まるで
別れることが前提みたいじゃないですか!」と突っ込まれて
「うっ」と詰まってしまった。「別れるのが前提なんですか?」
とまっすぐに見つめられて、「いえ、違います…」と私。
「ずっと一緒にいたいな、僕は」と訴えられて、切なくなった。

ずっと一緒にいようね、なんて、思えば初めて言われたのだ。
そんなこと言ってくれる人って、最初で最後だろうなあ。
こういう、まっすぐなとこに、どんどん引かれてしまって、
今ではすっかり、犀川君にメロメロ状態。
傷ついてもいいから、今回は「ずっと」を信じてみようと思う。

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